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umaPのブログ

映像編集やってます。

容量無制限のオンラインストレージ「bitcasa」を動画素材バックアップ用に使用できるか?

動画素材管理

ちょうど一年前の今頃、こんなニュース記事を読んだ。

「年額99ドル」ということは、年約1万円で使い放題!これは映像制作関係者にとってはジュルリなわけですよ。「使わなくなったけどいつか使うかもしれない素材をそのままぶち込んで……」とか考えちゃうわけですよ。

さて、そこで少し考察してみます。

他メディアの場合

分かりやすく比較するために、1万円で何時間の映像が保存できるか考えてみよう。

HDCAMテープなら40分でも3000円ぐらいはする。1万円では約2時間。

HDCAMでなんて今どき誰も保存しねーよ、と思ってるそこのあなた!私も傍から見ていてほんとバカだなあと思うのです。でも、頭の古くて固い人たちは、何故かテープに拘っちゃうんですよ。困ったことに。老害はみんな死ねばいいのに。いや、「死ねばいい」は言い過ぎだけど、さっさと引退すればいいのに。そのくせ従業員の給料は出し渋るというね……。

最近見た例だと、XDCAM EX、HD422(1920x1080、50Mbps)で収録した素材を、わざわざ一旦HDCAM(1440x1080)に落として、それをもう一度編集機に吸い上げてgrassvalley HQ codecで編集する、というのを見ました。最終納品はHDCAMだからそんなに気にならないんだろうけど、元から画質が良くて圧縮率もそれなりの素材はそのまま保存しておくのが一番綺麗なのに、何でそんなに手間をかけてわざわざ画質劣化させて、でも本人は「これが一番やりやすいねん」と言っていて、もう内心「アホか」と思いながら、でも相手の方が先輩だから、「は〜、そうですか、なるほど」と聞いていましたけどもね!

さて、話を元に戻します。

HDDの場合。大体1分あたり1GBとする(codecにも拠るが、分かりやすくするためにとりあえず)。HDDは、現在3TBが1万円ぐらい。とすると、1万円で約3000分だから、約50時間。

bitcasaの場合は、1万円で容量無制限。だから、年間50時間以上素材を収録するプロダクションはこれに入っとけばいいっちゅう話ですわ。

50時間なんて、毎週30分番組を2,3本程度作っているぐらいの小規模の制作プロダクションでも余裕で超えるでしょう。

転送速度も、試してみた限りではサクサクで全く問題なく。何かの時のバックアップ用が一年1万円で使えるというなら、充分有難い話なわけです。

いつの間にか値上げしてた!

それで、そろそろ使ってみようかなあと思って調べてみたら、約10倍に値上げしてました。

この方なども、私と同じような考えを持っておられたようです。

しかし、映像素材保存用としては、この値段でも充分安いのではないか?とも思えます。HDDと比較すると、年間30TB以上の使用が目安ということになり、中小企業では届かないでしょうが、大手ならまだまだ余裕で超えるでしょう。仮に届かないとしても、外部のバックアップ用と割り切ってしまえば、年12万なら安いものでもあります。自前で空間を用意する必要がなく、仮に事務所や倉庫が全焼したとしてもデータが残っているというのは大きいです。

しかし、そもそも、そう簡単に十倍も値上げしてしまうサービスは信頼できるのかというのも少し不安です。この手のオンラインストレージは本当に安全なのか。今年の年初に、ビットコインが破綻するという事件もあったし、クラウドサービスというのは本当に安心しても良いのでしょうか。データ流出のリスクや、突然破綻するリスク等々を考えると、このサービスに頼り切りになるというのは怖いです。お金に余裕のある人が安全のためにバックアップで使用するというなら分かりますが。

私の結論

年1万のままなら、弱者のための有難いサービスだったのになあと思います。

でも、元々、bitcasaの人が「容量無制限でもやっていける」と豪語していたのは、大部分のファイルは他の人と共通しているだろうという前提の下だったんですよね(ソース失念)。でも、映像制作会社のデータなんて、全部オリジナルでかつ容量はバカでかいというものなので、前提がもう崩壊している。それが値上げに繫がっている。

初めから、人を集めるために「安くて容量無制限!」を謳っておいて、うまく行かなそうになってきたら値上げすればいい、という考えだったとするなら、そういう考えの人が経営しているサービスを信頼せよという方が難しい。

いくら値上げしたところで、こういうのが殺到したら、遅かれ早かれ、やがて破綻するというのは明白だったりするやろうなあとも思うわけですが。また破綻しそうになったら、今後も値上げで対応するのでしょうか?しかし、値上げすればするほど、ますますそういうヘビーユーザーばかりが集まり、残ることになることになる筈。再値上げとかになったらもう終わりでしょうね。

自分でハードディスクを買って管理するより安くなるサービスなんて、そんなうまい話あるわけねー、ということを最初から見抜かなければならなかったのだと思う。それが今回得た学び。